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他人の債務の弁済 債務者でない者が錯誤によってする弁済。債務者でない者が錯誤により債務の弁済をした場合において、債権者が善意で証書を滅失させ、損傷し、担保を放棄し、又は、時効によってその債権を失ったときは、弁済をした者は、返還の請求をすることができない(民法第707条第1項)。債務者の受けた利益は、不当利得であり、弁済した者は、債務者に対して求償権を行使することができる(民法第707条第2項)。特殊な不当利得である「広義の非債弁済」のひとつとされているが、債務自体は存在するので、正確には、非債弁済でないとも言われている。(→期限前の弁済)
他人物売買 売買の目的たる権利が、いまだ売主に属していない状態でする売買契約。他人の権利を売買の目鄭としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負うとされ(民法第560条)、この規定から、他人の権利の売買も有効とされる。他人の権利を売買をした場合において、売主がその売却した権利を取得して買主に移転することができないときは、買主は契約の解除をすることができるが、契約の時においてその権利が売主に属しないことを知っていたときは、損害賠償の請求をすることができない(民法第561条)。(→第三者のためにする契約)(→瑕疵担保責任)(→数量指示売買)
頼母子講 相互扶助的な金融を目的として、数人が定期に一定額を払込み、各自が順次、抽選またはた入札等により、融資を受けることができるとする契約もしくは団体。無尽講。
ダブルクォーテーションマーク(double quotation mark)["] 引用符。
ため池 不動産登記規則第99条に規定されるの土地の地目のひとつで、耕地かんがい用の用水貯留池。(不動産登記事務取扱手続準則第68条)
反(たん) 尺貫法による土地の面積の単位。1反=10畝=300坪。1町=10反。
段(たん)(→反(たん))
単位株 昭和56年の商法改正の際に導入された、一定の数の株式を一単位として、株式会社の出資単位を適切な大きさに引き上げるため、将来株式併合を円滑に行うことを目的とした制度で、その規定は、改正商法の附則にされていた。単位株式には、自益権(残余財産分配請求権など経済的利益を受ける権利)、共益権(議決権など会社の運営に参与する権利)ともに認められたが、単位未満株式には、共益権は認められなかった。平成13年商法改正の際、額面株式の廃止に伴い、廃止された。(→単元株)(→端株)
短期消滅時効 民法上、債権の消滅時効は、10年と定められているが、同法で、債権の内容により、これより短い期間で消滅すると規定された特則。また、商法(明治32年3月9日法律第48号)において、商行為によって生じた債権は、5年で消滅すると定められている。
短期賃貸借 行為能力の制限受けた者又は処分の権限を有しない者がする場合に、期間を短期に制限された賃貸借。次の期間を超えることができない。
1.樹木の裁植又は伐採を目的とする山林を目的とするものは10年
2.前号以外の土地を目的とするものは5年
3.建物を目的とするものは3年
4.動産を目的とするものは6ヶ月(民法第602条)。
行為能力の制限受けた者又は処分の権限を有しない者としては、被保佐人(民法第13条)、被補助人(民法第17条)、 不在者財産管理人(民法第28条)、権限の定めのない代理人(民法第103条)、後見監督人がある場合の後見人(民法第864条)、相続財産管理人(民法第952条他)がある。
単元株 株式会社が定款で定めることにより、その発行する株式について、一定の数の株式(一単元)をもって株主が株主総会又は種類株主総会において1個の議決権を行使することができるとする制度(会社法第2条第20号、第188条第1項)。株式の分割と同時に単元株式数を増加し、又は単元株式数についての定款の定めを設ける場合で一定の要件(結果的に株主の議決権が減らない)を満たした時は、株主総会の決議によらないで定款を変更することができる(会社法第191条)。
会社法施行前には、単元株の制度とは別に、端株の制度が存在したが、これらは、株主管理コストの削減、会社の事務負担の軽減という目的において共通する制度であったため、会社法においては、単元株制度に統一され、端株制度は廃止された。
(→単位株)
単元株式数 株式会社がその発行する株式について、一定の数の株式をもって株主が株主総会又は種類株主総会において一個の議決権を行使することができる一単元の株式とする旨の定款の定めを設けている場合における当該一定の数(会社法2条20号、会社法第188条第1項)。単元株式数は、1000株及び発行済株式総数の200分の1にあたる数を超えてはならない(会社法第188条第2項、会社法施行規則第34条)。種類株式発行会社においては、単元株式数は、株式の種類ごとに定めなければならない(会社法第188条第3項)。
単元未満株式 単元株式数に満たない株式。単元未満株式を有する株主は、その有する単元未満株式について、株主総会及び種類株主総会において、議決権を行使することができない(会社法第189条第1項)。株券発行会社は、単元未満株式に係る株券を発行しないことができる旨を定款で定めることができる(会社法第189条第3項)。単元未満株式を有する株主は、株式会社に対し、自己の有する単元未満株式を買い取ることを請求することができる(会社法第192条第1項)。
単純承認 被相続人の権利・義務について、無限に承継するとするもの。民法第915条は、自己に相続があったことを知った時から3ヶ月以内(熟慮期間)に単純承認、限定承認、又は放棄をしなければばらないとする。又、民法第921条は、法定単純承認として、一定の場合に単純承認をしたものとみなすとし、熟慮期間の経過もその一つである。一般的には、積極的に単純承認の意思表示をすることは考えにくく、財産の処分や、熟慮期間の経過により、単純承認をしたものとみなされる例が多いと考えられる。
団地管理組合 一団地内に数棟の建物があって、その団地内の土地又は附属施設がそれらの建物の所有者(専有部分のある建物にあつては、区分所有者)の共有に属する場合に、それらの所有者(団地建物所有者)全員で構成する、その団地内の土地、附属施設及び専有部分のある建物の管理を行うための団体で、建物の区分所有等に関する法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、管理者を置くことができる(建物の区分所有等に関する法律第65条)。(→管理組合)
団地管理組合法人 一団地内に数棟の建物があって、その団地内の土地又は附属施設がそれらの建物の所有者(団地建物所有者)の共有に属する場合に、その団地建物所有者で構成する団地管理組合が法人となったもので、団地建物所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で、法人となる旨、及び、名称及び事務所を定め、主たる事務所の所在地において設立登記をすることにより成立する(建物の区分所有等に関する法律第66条、第47条第1項〜第3項、組合等登記令(昭和39年3月23日政令第29号)第1条、第2条、別表参照。)。団地管理組合法人は、その事務に関し、団地建物所有者を代理し、規約又は集会の決議により、その事務に関し、団地建物所有者のために、原告又は被告となることができる(建物の区分所有等に関する法律第66条、第47条第6項、第8項)。団地管理組合法人は、その名称中に「団地管理組合法人」という文字を用いなければならず、団地管理組合法人でないものは、その名称中に「団地管理組合法人」という文字を用いてはならない(建物の区分所有等に関する法律第66条、第48条)(→管理組合法人)
単独行為 法律行為のうち、行為者一人の意思表示のみによって成立するもの。解除、放棄、取消、遺言、寄付行為等。(→契約)(→合同行為)
担保供託 (1)広義では、特定の者が将来生ずることのある損害を担保するためになされる供託。担保供託には、「営業保証供託」の他、狭義の担保供託として、「裁判上の担保供託」、「税法上の担保供託」等がある。保証供託
(2)裁判上の担保供託。民事訴訟法、民事執行法、民事保全法等の規定に基づき、訴訟行為又は裁判上の処分に関して、当事者が、訴訟費用の支払、又は、相手方に生ずるおそれのある損害を担保するためになされる供託。
(3)税法上の担保供託。国税通則法、相続税法、酒税法、地方税法等の規定に基づき、国税等の納付を猶予する場合に、将来の納付を担保するため、債務者のする供託。
担保不動産競売 民事執行法上の手続きで、不動産に対して担保権を有する債権者が、不動産登記簿謄本等、担保権の存在を証する文書を裁判所に提出し、当該不動産を差押え、売却し、その売却代金を被担保債権の弁済に充当する手続き。(→強制競売)
担保不動産収益執行 民事執行法上の手続きで、不動産に対して担保権を有する債権者が、不動産登記簿謄本等、担保権の存在を証する文書を裁判所に提出し、当該不動産を差押え、目的不動産から生じる家賃収入等の収益を被担保債権の弁済に充当する手続き。(→強制管理)
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